平成29年10月5日、全老施主催の介護報酬改定決起セミナーを受講しました。
来年4月には介護報酬改定を控えており、さらに診療報酬・障害者福祉サービス等報酬との同時改定が行われます。
国の喫緊の課題は、少子高齢化の進展による要援護高齢者の増加と生産年齢人口の減少による社会保障費の伸びをどのように抑えていくのか。
しかし、問題はそう単純ではなく、一方で家族の介護のために仕事を辞めなければならない、いわゆる介護離職の防止、住み慣れた地域の中でいつまでも暮らし続けることを目指した地域包括ケアシステムを進めること、そしてその方々を支える介護スタッフが、2025年までに日本全体であと30万人、当三重県においてもあと3万人が必要との推計がある中においては、介護職員の処遇の改善を含めた人材確保対策、これも待ったなしに、確実に進めていく必要があります。
団塊の世代が75際以上になりきる2025年まであと7年半。人材確保対策については、従来のEPA、留学生アルバイトに加え、この11月からは技能実習制度が施行されるなど、外国人材の雇用を含めた改善が図られているところです。しかし、仮に生産年齢人口の減少分、介護人材の2割を外国人材で確保していくとすれば、毎年およそ8000人を受け入れる計算になります。人材の確保の窓口が拡がったことは評価したいと思いますが、この方たちは受け入れ即、戦力になるわけではなく、日本語教育やその後の資格取得のことを考えると、この目標の達成は容易でははありません。
従って、国内の人材に注目しなければならないということになると思います。
当会では、事務費を節約してまでも、スタッフの知識・技術・モチベーション向上のための研修会等の受講、タブレット・システムによる記録業務の負担軽減、介護機器・ロボットによる身体負担の軽減等による労働安全衛生の向上、産前産後・育児介護休業の法定超の規定、ワークライフバランスの取り組み、そして賃金改善等を積極的に行なっております。
今回、介護保険制度の改正により、介護報酬も改定されます。
社会福祉・介護サービスは、人と人とを介したサービスでありますので、総収入に占める人件費の割合は、ほとんどの施設で約3分の2、或いはそれ以上、7割を超える施設も出てきております。私どもは必要以上の利益は求めませんが、介護ベッドや車いす等ご利用者のために必要な器具・物品の更新費用や最前線で頑張っているスタッフの賃金改善等のための収支差額は絶対に必要であると考えております。
私たちは、ご利用者から一部(1又は2割と食事代、部屋代)をいただいており、収入の大部分(8又は9割)は、国が定めた介護報酬です。つまり、公定価格ということになります。
特養の3割が赤字とのデータがある中で、もしこの公定価格である介護報酬がこれ以上マイナスになるということであれば、先程の国の目標の達成どころか、地域の最後の砦である特養の運営自体が危機的な状況になるおそれがあります。
そのために私たちは地域住民のみなさまに納得していただけるサービスを、常に向上心を持ちながら提供するとともに、丁寧な説明を行うように努めておりますが、国に対しても地域住民の代弁者としてこれらのことを訴えていかなければならないと思っています。
今回のセミナーを受講して、改めて地域の社会福祉・介護の原点に立ち返ることができました。
地域のみなさま、そして現場のスタッフのために積極的に声をあげていきたいと思います。
(社会福祉法人 鈴鹿福祉会 理事長 中村 敏、特別養護老人ホーム 施設長)
学び・研修
介護報酬改定決起セミナーを受講しました。
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